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2006年 春号(第13号)…問診は大切です
鹿児島 桜島噴火口  (撮影:岡村理栄子)
2006年 春号(第13号)…問診は大切です
問診は大切です。くどくどと尋ねることをお許し下さい!
院長 岡村理栄子

すっきりとしない日が続いていますが確実に日が長くなり夏か近づいてきた気がして楽しくなります。これで早起きにまた戻れそうです。皆様はいかがでしょうか?

さて、新学期を迎え、当院も進学や転勤で東京にいらした方などの新患の方が増えてきています。そこで、診察の初めに行う問診をなぜ行うか今回は述べたいと思います。

当院ではまず初めに問診表を書いて頂いています。それにより今度かかった病気が過去の病気や今治療中の病気と関連があるか、今使用している薬の影響がないかなどを考える基ができます。特にアレルギー疾患は数種類の病気が重なることがあるのでしっかり尋ねなくてはなりません。

皮膚科が他の科と違うのは、この時点で診察することです。皮膚は目で見えますし(視診)、手で触ることができます(触診〉、それを行い病気の診断を絞込み、その後に又問診します。水虫のようにアレルギー歴を聞いたり、皮膚の腫瘍(癌や脂肪のかたまりなどができている方に)で来院された人に最近食べた物などを尋ねたりすることは必要ないわけです。

ここでよく尋ねることは
いつからできましたか?
…「ずっと!」や「だいぷ前」では困ります。一人一人の「だいぷ前」が違うのですから。一月前も5年前のこともずっと前といわれる方がいらっしゃいます。いつからできて、どういう経過をたどったかが診断にとても大切です。また、季節の変化で良くなったり悪くなる病気もありますので教えてくだされは助かります。
いままでの治療は?
…どんな薬を使い、変わらなかった、良くなった、悪くなった。これからの治療にとても重要な情報です。薬の名が分らなくてもチューブだったか容器に入っていたかだけでもある程度は類推できます。
何かいつもと違うことをされませんでしたか?
…山登りをしました。しいたけをたくさん食べました。汗を一杯かきました。なとなど。思わぬことで起きる病気があります。

問診でくどくどと質問すると、まるで今までのことを責められているように思われたり「あの時にこうすればよかったなどと過去のことを思いだされて、私が尋ねることで嫌な思いをされる方もいらっしゃると思います。私も大病をしていますので気持ちは分かるのですが、これからの治療の為ですのでよろしくお願いします。

そして、もしも、答えに困って適当に答えられると逆に間違いの原因になったりしますので、はっきりしないのなら「忘れた、覚えていない」などと言って下さい。そこでその期間は「あまけ覚えていないくらいひどくはなかったのか」などと推理もできます。

問診も大切な診察であることを知ってくどくどと尋ねることをお許し下さい!

水虫の患者さんに問診で「なぜ、いままで治療しなかったのですか?」と質問しますと「どうせ治らないと思っていたから」という方が圧倒的に多いので今回は皆様からのご質問に答えることで「水虫は必ず治る」ことをご理解頂きたいと思います。

患者さんからの質問
lightbulb_outline水虫の原因は?
水虫は人間にかびがついて生じる病気です。ほとんどが白癬菌という真菌(かび)が皮膚のいろいろなところに付き、その為に赤くなったりかゆみがでたりする病気です。足に生じると水っぽくなり、じくじくするので「水虫」と言われています。体に付くと「たむし」といいますし、頭に付くと「しらくも」といいます。かびですから乾燥に弱く、やはり梅雨時や汗をかく夏に悪化することが多いのです。しかし、最近では高温多湿の日本なのに靴を履き続けるので季節は関係なくなっていますし、女性の方も仕事をする方が増えたためか患音さんは多くなっています。
lightbulb_outline水虫は治るのですか?
勿論です。良く効く薬もいっぱいあります。ただ、皆さんが辛抱強く塗って下さらないことが多いために治りづらいのです。ポイントは患部と自分が思っているところだけでなく広めに塗ることです。かびがいてもまだ発病していない部位にも塗ると治りが良いのです。症状がなくなったように見えても、がんこな白癬菌は皮膚の中で生きています。自分の判断で薬を止めないで三ヶ月は塗り続けましょう。
感染源を避ける…家族にうつすと折角自分が治ってもまた自分にうつります。足ふきマットやスリッパの共有を止め、絨毯や畳は掃除機でまめに掃除しましょう。
清潔にする・‥石鹸でよく洗う。特に足のまたは忘れがちです。丁寧に洗いましょう。そうすると他の場所(温泉やサウナ等)で菌がついてしまっても発病しません。
乾燥させる…靴をしっかり乾燥させましょう。仕事場でスリッパが履けないならお休み時間だけでも靴を脱ぎましょう。
通気をよくする…靴下は薄く通気のよいものを。
lightbulb_outlineではなせ水虫は治りにくいといわれるのですか?

先に述べたような治療をすれば本当の水虫なら治らないことはありません。しかし、水虫といって来院する人で別の病気の人が少なくはないのです。みずぶくれとかゆみで水虫と決めつけて「薬を塗っても効かない効かない」と思っている人が多くいるのです。水虫でないので水虫の薬が効くわけもなく、そういう人が「水虫は治らない」と決め付けるので、本当の水虫の人もそれを聞き、なおさら治療をする気がなくなるのです。

足には種々の湿疹もありますし掌蹠膿庖症という難治な病気もあります。

また、水虫は本来皮膚の浅いところの角層にしか存在しないのですが、深い亀裂が指のまたにでき、そこから細菌が入って感染していたり、水虫の薬でかぶれたりもします(「市販の薬には抗真菌剤だけでなく、カンフルなどのスーッとする成分が人っていたりしますので)。そこにいきなり水虫の薬を使うと却って悪くなることもあります。正しい診断と適切な治療が必要です。

lightbulb_outlineではどうやって診断するのですか?

皮膚や爪の一部を少し採って顕微鏡で見て糸状の菌がいるかを見ます。数分で分かります。浅くしか採りませんので痛い検査でもありません。

lightbulb_outline爪にもできるのですか?

そうです。長い間水虫をほって置くと爪にはいり爪がボロボロしたり、黄色くなります。そうすると足の水虫を治しても爪から菌がでてくるので治らなくなります。

塗る薬では成分が内部まで浸透しないので効果なく困っていましたが、最近は良い飲み薬ができて皆さん治るようになりました。爪の伸びは一日0.1ミリなので、すっかり生え変わるまで六ヶ月ほどかかりますが、毎年の悩みから永遠にさよならできると大好評です。