2003年 春号(第4号)…紫外線にご注意
紫外線に御注意
すっかり暑くなりましたが、皆様いかがお過ごしですか? 私は先日、実家の鹿児島に帰ってきました。着いてすぐ驚いたのはその空気の良さと日差しの強さです。そこで、今回は太陽光線について書こうと思います。
皆さんは日に焼けると赤くなりますか? それとも、直接黒くなりますか?「日焼けしてしまった」と日本語ではいいますが、英語では同じ日焼けでも、二つに言い分けます。一つはサンバーンで、焼いてすぐ生じ、赤くなり痛みを伴い、中にはやけどと同じようになり、みずぶくれになる人もいます。毎年、当院でも数人のおおやけど状態の方が来院なさいます。そこまででなくても、色の白い人ほど強く症状がでます。もう一つはサンタンでこれは一週間ほどで黒くなることです。皮膚のメラニンを作る細胞が危険を察して皮膚の細胞を守るためにメラニンをつくり、直接帽子のようになり大切な細胞を守るのです。もともと、紫外線の多い地域に住む人の色が黒いのはそのためです。日頃から、少しずつ焼いていればよいのですが、焼いても6ヵ月ほどで元に戻りますし、今では紫外線予防をサンタンに頼らずとも今は良い紫外線予防があります。
さて、地上に届く太陽光線は紫外線、可視光線、赤外線に分類されています。紫外線は主にサンタンを起こすA波とサンバーンを起こすB波に分けられます。また、両方とも皮膚の表面だけではなく、その下にある真皮の中の繊維にも影響を与えます。最近では紫外線に当たることを避ける傾向があります。それは、老化、癌の発生が紫外線を浴びるほど高くなることがわかったからです。
皮膚癌は日光の当たる部分に90パーセントは出ます。また同じ紫外線量を浴びるなら、短期間に大量に浴びるほうが長期に少しずつ浴びるより、また若い時期浴びるほうが高齢で浴びるより癌の発生率は高くなるとされています。それは、子どもは細胞分裂が盛んでそのスピードが速い為、紫外線で傷ついた遺伝子が間違って修復される可能性が高いからだと考えられています。
また、紫外線は慢性に皮膚を刺激し老化、しみ、しわの原因にもなります。そこで美容上の観点からも紫外線にたいする防御が必要です(後述)。
紫外線が多いのは暑い夏だけではありません。勿論7月、8月の正午がピークですが、晴れの日が多い4月、5月も注意が必要です。特に3月は1月の2倍と急に多くなる時期で皮膚の抵抗力が落ちていてトラブルが多い時期です。油断しないで、春から秋まで紫外線に注意しましょう。
日焼け予防しましょう!
日焼け止めを使いましょう
これは一番多い質問です。これは主にB波に対しての効果を表しています。1SPFは個人で値が違いますが日本人はだいたい20分くらいです。つまり、日焼け止めに30と書いてあるなら20×30、600分は赤くならないということです。白人の人ならSPFが5くらいなので5×30、150分しかもたないということです。
またA波への効果はPA値で表され、その日焼け止めを塗れば塗って無い時より何倍の防止ができるかで表されています。(+)で2~4倍(+++)は8倍以上となっています。しかし、いくらSPFやPA値が高くても適正な量を塗らなかったり、汗でとれては意味がありません。塗り直すことが大切です。
日焼け止めに含まれる成分には、「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」があります。吸収剤はUVBをよく吸収し、散乱剤はUVBとUVAどちらもカバーすると言われます。
吸収剤による接触皮膚炎が多いため、かぶれやすい人は、散乱剤のみの日焼け止めを選びましょう。
条件 | 防御対象波長 | SPF | PA | 備考 |
---|---|---|---|---|
日常生活 | 5 | + | 光老化予防 | |
軽い屋外活動・ドライブ | UVB | 10 | ++ | サンバーン、光老化予防 |
スポーツ・海水浴 | UVA | 20 | +++ | サンバーン、光老化予防、耐水性のあるもの |
熱帯地方での屋外活動 | 30以上 | +++ |
日焼け止めは男の人も必要です。今では、色が付かないものや、さっぱりして使用感の良い物が多くなりました。御化粧をしない男の人ほど、癌の予防の為に使って欲しいものです。
日焼け予防は日焼け止めだけではありません
日焼け止めを体中にぬるのは大変です。帽子や長袖シャツで紫外線を防ぎましょう。帽子はキャップではなく、つばが後ろにもあるもの、長袖シャツや日傘は濃い色のもののほうが紫外線防止効果があります。
特に、車を運転する人、自転車に乗る人は、手袋をすると手のしみを防げます。
真夏の昼間は紫外線が特に強いので、外出するのであれば、午前10暗から午後3時のあいだはさけたほうがよいでしょう。浴びた紫外線の総量によって肌の老化度も決まります。若い暗からの紫外線対策が肝心です。
良く知ろう自分の肌質!
皮脂を分泌する皮脂腺は全身にありますが、中でも顔は皮脂の分泌が活発です。特に額、鼻や口のまわりなどの顔の中心部は皮脂が多くTゾーンと呼ばれ、目のまわりや頬をUゾーンと呼びます(図1)。
基礎化粧品は、都市の乾燥化が進み保湿がとても大切になり、ますます多く使われていますが、肌質に合っていないと逆効果です。肌質の分類としては乾燥肌、脂性肌、脂性乾燥肌、普通肌が最も一般的です(図2)。また、肌質は年齢によっても、季節によっても変わりますので、自分の今の肌質を分かっていないといけません。若い時からずっと同じ化粧品を使っていてトラブルが起きたり、よく友達がみんな使っているからと洗顔料などを買う人がいますがそれは個人差があることを考えるとあまり良いことではありません。
特に若い人は脂性乾燥肌が多く、これは皮脂は多いが水分量が少ない肌です。TゾーンとUゾーンの差が大きい事が特徴です。「かさかさしているのでこれを使っています」とニキビの患者さんが随分油っぽい化粧品を使っていることがあります。そういう人はこの肌質の人なのですが自分で見極めるのが難しいと思います。また、夏は脂性肌で冬は乾燥を伴いこの肌質になる人がいます。このようなタイプの人は洗顔料やクリームなどを季節によって変えなくてはなりません。
アレルギー体質の人にみられるなかなか治りにくい病気ですが、最近では皮膚の保湿作用の機能低下がこの病気の基盤であることが明らかになってきました。他の人より、より保湿しなくてはなりません。アトピーは化粧品では治りませんが、保湿のために使ったり、気晴らしに皮膚の状態が良いときにかぶれにくいものを使って化粧をしたりすることは、精神上かえって良いことと思います。