2003年 秋号(第5号)…おしゃれ障害
おしゃれ障害
今年は夏が短く、季節のめりはりが無く、真夏なのに乾燥しすぎる方がいたりと、季節により生じる皮膚病も例年と様子が違っていました。ただ、“アトピー性皮膚炎の汗による悪化”や赤ちゃんのあせもからできる“おでき”などが少なく、ほっとはしました。
さて、私はこの7月に、この冊子の写真を表紙とした「おしゃれ障害」という本を出しました。この本は学校の先生方を対象にした本を出す会社、少年写真新聞社から出し、先生方が教え子におしゃれの障害が出たときに指導出来るようにと思い書きました。
しかし、最近ではおしゃれも低年齢化しているのが実情です。また、あまりにも身近にあるものにかぶれていたり、傷を受けたりしていると案外気がつかないものです。特に毛染めによるかぶれなど、地肌が髪で隠れているのでわからずに、何回も繰り返す方もいますし、繰り返すうちにどんどんひどくなる方もいます。そのことを、大人の方も気づかないこともあるのですから、高校生だけでなく、中学生やなかには小学生まで自分で染めている今、それをかぶれているのだと気づかない方が多くなっています。この本では、その為に写真と図を多くして、本人や家族の方にも分かるようにしました。写真等のことでは多くの患者さんに協力していただきました。ありがとうございました。
その他の内容は最近多い、ピアスやマニキュアによる皮膚の障害、日焼けサロンによるもの、窮屈な靴によるたこ、巻爪、ブーツで悪くなった水虫などです。
また、子どもの化粧についても書きました。小学生が化粧をするようになり、子供用の化粧品が最近売られていますが、成分は大人用と同じでかぶれやすい子どもには不適切と思われます。科学的にそれは良くないと、この本では強調しました。しかし、私の本音は高校生などの、思春期以降の人は自分で自分のおしゃれは決め、自分で責任を負うので良いとしても、子どもさんには親御さんが教えてあげて欲しいのです。「子どもの肌は薄く、透明感に満ち、一番美しい時期であること。お化粧以外のおしゃれ、年齢に沿ったおしゃれを考えてみましょう」と。
あきらめないで 水虫!
水虫というのは俗称で本当は足白癬と言う、足にカビがつく病気です。ご存じのようにほとんどの人は夏、特に梅雨時に悪くなります。じくじくしたり、水ぶくれができることが多いのですが、なかには、足の裏の角質が厚くなるタイプもあります。このかたちの人は自分のことを「痒くないし、水ぶくれもない」などと思い、まさか自分が水虫と思わず散々人にうつすことがあります。特に健康サンダルを履いている人はガチガチになりますので止めてください。冬は乾燥しますます悪くなります。冬こそしっかり、薬を塗りましょう!
ほとんどの水虫は塗る薬で治ります。とはいえ3ヵ月、特に治ったと思ってから1ヵ月は塗らなくてはいけません。充分な期間塗ることが治療のポイントです。しかし、この足の裏が硬くなるタイプは飲むお薬も少し、初めのころ飲むと効果的です(1ヵ月ほど)。
水虫をほうっておくと爪にかびが入り「爪水虫」になってしまいます。爪がぼろぼろになったり、黄色くなったり厚くなったりします。こうなると、塗る薬では難しく、飲む薬が主になります。テレビのコマーシャルで有名になりましたが、半年飲めばほとんどの人は綺麗にもとの爪になります。半年は長いようですが、長年悩んできた人には朗報です。
まずは、検査をします。足の皮膚または爪をはさみで一部取り(かなり浅くほんの少し取りますのでそのあとの処置はとくにいりません)、その中にかび(真菌)がいるかその場で顕微鏡で見ます。足が痒いから、ジクジクしているからと言っても水虫では無いことがあるのです。
そして、足水虫なら塗る薬で、爪水虫なら薬を飲めるかどうかを検討します。内服には3種類あり、各々の薬に他の薬との飲み合わせもありますし稀ではありますが、肝機能障害や貧血等の副作用も報告されています。そこで、血液検査をして異常の無い方だけが、飲むことになります。最近では高齢の方でも飲み薬を希望される方が多く効果も上がっています。
どうしても、飲めない方は、薬を爪が柔らかくなった入浴後に塗る、爪を柔らかくする薬と一緒に塗る、小型ドリルで削って(当院で)薬が効きやすくするなどの方法をとります。塗るだけでは、飲む薬の何倍も時間が掛かります。が、何もしないで毎年せっかく治った足にまで広げて、痒い思いをする事を考えたらあきらめるわけにはいきません。