2004年 秋号(第8号)…気を付けよう、身近なものによるかぶれ
気を付けよう、身近なものによるかぶれ
夏になるとベルト(鞣すのに金属のクロームを使う)やネックレスのかぶれで多くの患者さんが来院されます。夏は塩分が含まれている汗のために、いろいろなものに含まれている金属が溶けだしてきてかぶれを生じやすいのです。かぶれは医学用語では「接触皮膚炎」と言い原因は様々なものですが、最近では日用品によるものが増えてきています。
一番多いのは衣服によるもので、ストッキング類のナイロン、ホルマリン、染料、蛍光増白剤などが原因となります。これも、汗をかきやすいところ、衣服が密着するところに多く、また、患者さんのお話をよく聞くことと、治ってからわざとそれを着て貰い再現する事で診断がつきます。
次に多いと言われるのは合成洗剤によるものです。食器洗いの洗剤などは原因が分かっていてもなかなかやめられません。それでも、手袋を使ったり、洗剤をうすめて使ったりして防ぐ努力をしてもらっています。
また、シャンプーによるものは原因として気づかれにくく慢性に湿疹ができ、なかなか治らないことがあります。お風呂に入ったら、まずシャンプーをしてその後にしっかり体と手を洗う必要があります。どうしても、治らない人はシャンプーを止めて石鹸で洗うか、お風呂ではなく(シャンプーが体につかないように)髪だけを洗面台で洗うようにすると良くなることがあります。
もちろん、化粧品によるものも多くみられます。化粧品は1人の人が多くの物を使い、個人差も多く、そのために、当院では原因をつかむために色々質問をします。
この質問は私達医師にとって診断の助けになるだけでなく患者さんの方も自分の生活全般について色々気づくことになり、役に立っています。この質問をもとに診断をし、必要ならパッチテストを行います。そして、治すだけではなく、防ぐことに気を付けていきます。それが、接触皮膚炎の治療全般にわたり大切な事と考えます。私がよく言う言葉は「これは、何かにかぶれています。治すことは簡単ですが、繰り返すことは防げません。もう一度原因を一緒に考えてみましょう!」です。ご本人の協力がなければどうしても防げない病気です。くどいくどい質問お許し下さい!