2005年 冬号(第9号)…お風呂に上手に入りましょう!(新)
新しい年を迎えて
皆様、明けましておめでとうございます。本年も無事に迎えられたのも未熟な私共を暖かい目で見てくださる患者さん方、いつも協力して下さる近隣の諸先生方のお陰と従業員共々感謝しております。本年も一同でより良い医療をめざし努力する所存ですのでよろしくお願いいたします。
さて、昨年は猛暑のために皮膚の伝染病や汗による湿疹、金属かぶれが多く難儀された患者さんが多く見られました。また、その猛暑の影響で、すでに11月ごろから杉による花粉症が生じ、顔や目のまわりに皮膚炎ができた方もいらっしゃいました。杉花粉の飛散が今年は史上最高と言われています。
花粉による皮膚炎は当初は鼻水や涙のためのかぶれだけが主でしたが、最近では直接花粉が皮膚に付きアレルギー反応を起こしたり、アトピーを悪化させたりする事が多くなってきました。また、昨年が大丈夫だからと言って、今年が大丈夫とは限りません。一人一人のアレルギーの許容量は決まっていてよくコップに例えられます。つまり、小さいコップの人は杉花粉を吸い始めて5年ほどで水が溢れ出てしまい(許容量を越えると)毎年アレルギーが起こります。大さいコップの人は何年でも大丈夫なのです。しかし、入れる水が少なければ水が溢れることが少なくなるので、なるべく花粉は吸わない方がよいと考えます。
私と多くの杉は同じ位の年齢で(終戦直後に植林された)、花粉を飛ばすようになった時から30年位経ちます。その為に私より上の年齢の方や私たちはほぼ同時に花粉症を発症し(吸った期間が同じな為)一時は中年の病気とまで言われていました。しかし、今の子供達は生まれた時から杉の花粉が飛んでいるのですぐに許容量を超えてしまい発病する子もいます。お子さんの鼻がぐじゅぐじゅしたり、顔が赤くなったりしたらその日の花粉情報を見て下さい。度々、重なるようですと疑わしいと考えられます。
皮膚科では勿論杉などの花粉による皮膚炎の治療にも熱心ですが、杉やシラカンパの花粉にアレルギーの人が果物によりアレルギーを生じ蕁麻疹(じんましん)となる例も多く見られそれも研究されています。
治療は他のアレルギー疾患と同じく抗アレルギー剤の内服や外用ですが、最近は全く脳内に人らずその為に眠気の全くない薬も開発され楽にはなっています。それでも、一番良いのは、なるべく接触しないことです。花粉を家に持ち込まないように、家中の人が(自分は花粉症でなくても)上着は玄関で脱ぐ、帽子を被る(髪の毛につきやすい)、マスク、メガネをする。色々工夫したいものです。
お風呂に上手に入りましょう!(新)
「皆さんお風呂に入っていらっしゃいますか?」とこんな事を聞くのは、最近日本人でもシャワーだけの方が増えてきているからです。皮膚を清潔にするためにはお風呂にはいるのが一番です。ゆっくり入れば、皮膚の表面に付いたアレルギーのもとの家ゴミもお湯に溶け出すと言う説もあります。でも、季節によってはお風呂の入り方に気を付けなくてはいけません。また、勿論、皮膚におできができたり、やけどをした時などその部分が濡れなくても入ってはいけない時もあります。
シャンプーからしましょう。肩や首筋などにシャンプーが付いたままですとかぶれてしまいます。きちんと、石鹸で洗い流しましょう。その時は、顔も洗いましょう。
少ないときちんと汚れが落ちませんが、多すぎると必要な皮膚の脂分や保湿成分が流れ落ちて皮膚がかさかさしてしまい、痒みが出てしまうことがあります。一度にたっぷり使わずに足りない時に少しずつ足すようにします。特に液状のものはポンプー押しが石鹸を5回ほどなすりつけた量と同じと言われていますので、使いすぎに気をつけましょう。
汗をかくと皮膚に付いた色々な物質が汗に溶けて皮膚の中まで入り易くなります。暑い日や運動をする日に朝入浴しておくと痒みが少なくてすみます。
水虫の原因のカビはそこら中います(銭湯やスポーツクラブなど)。でも、うつる人とうつらない人がいます。足の形や生活環境などが違うからと考えられます。水虫はきちんと薬を塗れば治ります。そして、いちど罹った方は自分が罹りやすい事を覚えていて、足を必ずよく洗い、よく拭くことを習慣付けてください。勿論、治療中も石鹸できちんと洗ってから薬を塗りましょう!
温泉は成分により保湿に良いもの、保温によいものがあります。皮膚に、特にアトピー性皮膚炎に草津温泉が経験的に良いというのは有名です。また、温泉は直接、皮膚に良いだけではなくリラックス効果や規則正しい生活を取り戻すことにより体全体の調子を良くして皮膚病を良くすることも分っています。しかし、最近はなんにでも温泉が良いと宣伝して、高額な温泉療法を色々な病気に勧めている団体もあります。折角温泉の豊かな日本ですので、正しい温泉の使い方を考えたいと思います。また、温泉にお出かけの時は硫黄泉かアルカリ性、塩湯などを調べてご相談下さい。病気により「ふき取るべき」か、「洗い流さない方がよいか」などとご相談いたします。
かさかさしやすい人は脂を落としすぎないような石鹸、ニキビの人はしっかり脂がとれる石鹸、いずれにしてもゆっくり、こすらず、そっと、でもしっかり洗い流すことが大切です。最近ではグルコール酸入りの石鹸があります。肌のくすみ、小皺、ニキビなどの自己ピーリング用です。当院でも皮膚の状態別の種々の石鹸を販売していますが、購入する前に必ずサンプルを使ってみてください。